前回に引き続き、美祢市を探索。
古く幕末には奇兵隊の本陣を構え、明治期には売薬で富山と並び称されるほど栄えたという伊佐地区(旧伊佐町)。近年においては日本随一の石灰石の産出を誇り、どこにいてもセメント工場の煙突が見える古い街並みには、かつての繁栄の残り香が。在郷町の移り変わりを見ていく。
東西に走る商店街を、東から攻めていこう。
商店街のどこにいても見える工場と煙突は、宇部興産の子会社、宇部マテリアルズ。
玄関先に井戸のあるタバコ屋さん。
鋭角に切れ込む三叉路。物見櫓に目が行きがち。
あ、ぼく写り込んじゃってる。
このお店には数年前までTOSHIBAの大きな看板があった気がするのですが。
暗渠になった路地を歩けば焼肉屋さんが。
こういうとこが美味しかったりするんだよねー。
こちらの商店もペプシ推し。
蔦に覆われた元料亭?
裸電球が嫌いな人っているのだろうか。いや、いない。
もう全くと行っていいほど見かけなくなったお米の自動販売機。
ノコギリハウス。
このテの物件は細長い土地や、三角の狭い土地に建てられた上物でたまにあるんだけど、入隅出隅多すぎて余計に建築コスト掛かりそうな気がしますが…どなたか詳しい方教えて下さい。
たばこは心の日曜日(撮影したのは火曜日)。
商家や町家が並ぶ周辺より少し背が高い近代建築は、旧伊佐郵便局。
現在は多肉植物の専門店が入る。両隣の建物の二階部分の欄干にも注目されたし。
激シブな金物屋さんの看板は、かなり退色が進んでいる。
ずっと西へ進んできた商店街は、途中で宇部マテリアルズの工場正門前の通りと交差する。
その通り沿いにあるのは老舗の斎藤製菓。
看板に掲げられた商品名は"ういち饅頭"と読むようだ。宇一さんというのは初代の当主のことらしい。
ういち饅頭に比べて"化石もなか"の看板は控え目。
宇一さん…穏やかな表情だ。
なお"ういち饅頭"は食べたことがないので、また今度買ってみよう。
先程の商店街に戻って再び西へ。
袖壁を持つ金物店。もしくは金物センター。
現役の本屋さん。
こういった個人経営の昔ながらの本屋さんを見つけるたび嬉しくなる。
立派な店構えの呉服店。
ガラスの飛散防止のためか養生を貼ってあるが、営業中である。
古くからの建物の間に、空き地が散見する。長屋風の建物はこの通りを訪れる度に少なくなっていくようだ。かつては煉瓦塀が多く見られた記憶があるが、今はわずかに残るばかり。
……おお……(涙)。
路地徘徊が趣味でツイッターをされている方はきっとご存知だろう、あの「路地」と書かれた赤提灯をアイコンにしている某レジェンドのことを…
ここにその赤提灯が吊るされていたのだ。
木製電柱の右側、道路に面して豆タイル貼りのタバコ屋カウンターがあり、うなぎの寝床のような細長い木造の長屋が写真奥まで続いていた。そしてその中に「路地」という名の焼き鳥屋が…
今はもう無い。
隣りにあった「リボンシトロン」の看板を掲げた商店(酒屋さんだったかも?)も無くなってしまった。
…無くなってしまったが、確かに存在したのだ。
あの日の想いまでなくなったのか?否、そんなことはない。
まだ見ぬ景色との邂逅を求めて、今日もまた歩くのだ。
向かいには何らかの商店の跡。
「祭」と書かれた大きなうちわが物悲しい。
塩の専売制時代の看板はさほど珍しいものでもないが、「スバル」と「塩」を並べると車が腐食してしまいそうなイメージですな。
これより西側はスナックが数件建ち並ぶ。営業している店舗はもう無さそうだ。
なかなかアグレッシブなファサードが多い。
この他にも、主張の強い外観の店舗が、すっかり静かになってしまってまちに溶け込んでいた。
これは元タバコ屋さんのカウンターだろうか?クラシカルさが逆に新鮮だ。
食堂のショーケースって感じもしなくもない。
これは間違いないな。元タバコ屋さんだ。
豆タイルではなくタイル風トタン。サビがたまらなく愛おしい。
さて、2回に渡って美祢の市街地を見てきた。
どちらかと言うと雄大な自然にばかり焦点が当てられる美祢のスポット。人々の暮らしのある風景がスルーされがちであるが、とても良いところです。
惜しむらくは駅前旅館や商人宿が無さそうなことだろうか。まあウチからそう遠くない距離なので泊まることは無さそうだが。
それでは。