おなかがよわいお坊さんはあわてない

おなかを壊しやすい僧職系男子、まち歩きのススメ。

山口市 : 旧桂ヶ谷貯水池堰堤

f:id:nori7770:20210505110933j:plain

山口市 小郡上郷の山中にひっそりと佇む、赤色の遺跡。ヨーロッパの砦にも似たその姿にロストテクノロジーが眠っているのではないかと期待して、ぼくの中の少年の心が沸き立つ。

大正12年竣工、コンクリートと石垣、レンガ積みの堰堤。その優美なアーチに心を奪われた。

あまり舗装されてない山の中にあるとは調べてきましたが、ほんとにちょこっと踏み慣らされただけの山道でした。

f:id:nori7770:20210505013907j:plain

詳しいルートは割愛しますが、上郷駅柄より県道28号〜林道市原線方面へ。

上の写真の場所へ。ここから左の山の中に入っていきます。

 

f:id:nori7770:20210505135148j:plain

f:id:nori7770:20210505135206j:plain

登山口(という程のものでもないが)には接合井建屋。

上部には「水」をモチーフにした印章。
 

f:id:nori7770:20210505110133j:plain

さあレッツゴー!

 

f:id:nori7770:20210505134201j:plain

f:id:nori7770:20210505134211j:plain


 

f:id:nori7770:20210505110302j:plain 道中は地面が平らなとことがあまりないので、足首痛いです。クマ用の罠もあるみたいなんで、うっかり足を滑らすと大変危険!

ちなみにこれは随分前に撮ったものですが、今年(2021年)の3月に行ったときにはこの橋は朽ちていました。
 
もし行かれる方がおられましたらお気をつけください。山道に入ってからの距離はそう遠くないです。

f:id:nori7770:20210505110530j:plain

おお。
 

f:id:nori7770:20210505110842j:plain

まるでドイツだかの城壁のよう。

広角の単焦点しか持ってないので、クロップしてます。
 

f:id:nori7770:20210505110933j:plain

f:id:nori7770:20210505110943j:plain

近づいてみる。

 

f:id:nori7770:20210505111143j:plain

透かし積みの欄干は、ところどころ崩れかかっている。
緩やかに弧を描く堰堤の中央部分には取水塔が。
 

f:id:nori7770:20210505180754j:plain

裏側から。
 

f:id:nori7770:20210505111945j:plain

さあ、堰堤の上へ。
※この撮影当時はありませんでしたが、現在は立入禁止のチェーンがかかっています。
侵入はお控えください。
 

f:id:nori7770:20210505112523j:plain

堤体には穴が開けられており、もう水が貯まることはない。
かつて池だった場所には草が生い茂っており、小さな小川が流れるのみ。
 
 

f:id:nori7770:20210505114519j:plain

f:id:nori7770:20210505114557j:plain

取水塔部分は施錠されていて立ち入ることはできない。
 
 
 

f:id:nori7770:20210505114642j:plain

f:id:nori7770:20210505114651j:plain

これは…美しさの独房だ。
時という囚人を閉じ込め続けている。
 

f:id:nori7770:20210505120003j:plain

f:id:nori7770:20210505121254j:plain

反対側から。

f:id:nori7770:20210505121326j:plain

f:id:nori7770:20210505121334j:plain

透かし積みのレンガの隙間から差し込む光によって、キリリとした陰影が作られる。

 

f:id:nori7770:20210505132139j:plain

f:id:nori7770:20210505132050j:plain

f:id:nori7770:20210505131921j:plain

f:id:nori7770:20210505132256j:plain

これは雪の降った翌日の様子。

 
その役割を終え退廃的な雰囲気を漂わせつつもなお、周辺の治水に貢献し続けてきたことの誇りを感じさせる雄大な佇まい。
訪れる人は殆どいないのがもったいないが、こうやって森の中でひっそりと、人の記憶から薄れていくさまこそが、儚く美しいと感じる所以かもしれないな。

f:id:nori7770:20210505163230j:plain

それでは。