
山口市 小郡上郷の山中にひっそりと佇む、赤色の遺跡。ヨーロッパの砦にも似たその姿に
ロストテクノロジーが眠っているのではないかと期待して、ぼくの中の少年の心が沸き立つ。
大正12年竣工、コンクリートと石垣、レンガ積みの堰堤。その優美なアーチに心を奪われた。
あまり舗装されてない山の中にあるとは調べてきましたが、ほんとにちょこっと踏み慣らされただけの山道でした。

詳しいルートは割愛しますが、上郷駅柄より県道28号〜林道市原線方面へ。
上の写真の場所へ。ここから左の山の中に入っていきます。


登山口(という程のものでもないが)には接合井建屋。
上部には「水」をモチーフにした印章。

さあレッツゴー!


道中は地面が平らなとことがあまりないので、足首痛いです。クマ用の罠もあるみたいなんで、うっかり足を滑らすと大変危険!
ちなみにこれは随分前に撮ったものですが、今年(2021年)の3月に行ったときにはこの橋は朽ちていました。
もし行かれる方がおられましたらお気をつけください。山道に入ってからの距離はそう遠くないです。

おお。

まるでドイツだかの城壁のよう。
広角の
単焦点しか持ってないので、クロップしてます。


近づいてみる。

透かし積みの欄干は、ところどころ崩れかかっている。
緩やかに弧を描く堰堤の中央部分には取水塔が。

裏側から。

さあ、堰堤の上へ。
※この撮影当時はありませんでしたが、現在は立入禁止のチェーンがかかっています。
侵入はお控えください。
堤体には穴が開けられており、もう水が貯まることはない。
かつて池だった場所には草が生い茂っており、小さな小川が流れるのみ。

取水塔部分は施錠されていて立ち入ることはできない。


これは…美しさの独房だ。
時という囚人を閉じ込め続けている。


反対側から。


透かし積みのレンガの隙間から差し込む光によって、キリリとした陰影が作られる。


これは雪の降った翌日の様子。
その役割を終え退廃的な雰囲気を漂わせつつもなお、周辺の治水に貢献し続けてきたことの誇りを感じさせる
雄大な佇まい。
訪れる人は殆どいないのがもったいないが、こうやって森の中でひっそりと、人の記憶から薄れていくさまこそが、儚く美しいと感じる所以かもしれないな。

それでは。
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