おなかがよわいお坊さんはあわてない

おなかを壊しやすい僧職系男子、まち歩きのススメ。

下関市の近代建築 その1

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日本の歴史が動くとき、幾度となく表舞台に登場した下関には、今なお多くの歴史的建造物が残る。西の玄関口として、交通の要衝かつ瀟洒な港町でもあった唐戸周辺の近代建築群を見ていこう。

 

タイトルには「近代建築」と銘打っているが、「歴史的な建造物」…いや、「なんか古いタテモノ」ぐらいに捉えてもらえるとありがたい。

なぜって?きっと近代建築じゃないもの(西洋化されていないものや、モダン建築)もそのうち紹介しだすから。

建築の専門家ではないため、あまり詳しく語ることは出来ないし、もしかすると間違いもあるかもしれないがご容赦いただきたい。ゆるくいきます。

 

 

さて、まずは市街地エリアから。

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【旧下関英国領事館】

設計:ウィリアム・コーワ

竣工:1906年

国内では現存最古の領事館建築で、国の重要文化財である。

 

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玄関上部の紋章はヴィクトリア女王のもの。

永らく失われていたが、近年の改修工事の際に英国王室の許可を取り付け、史料から復元された。

 

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三連のアーチのバルコニーが美しい。

外交貿易の拠点として重要視された"東洋の関門"下関において、極めて歴史的価値の高い建造物である。

 

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現在はギャラリー/カフェとして営業しているのだが、館内に隠れているのは皆さんご存知、あの愛くるしいウサギさん。

 

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ベアトリクス・ポターの絵手紙から誕生した、ピーターラビット

実は旧下関英国領事館の公式キャラクターである。

 

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お次はこちら。

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山口銀行旧本店

設計:長野宇平治

竣工:1920年

外観上部のペディメントとクラテールが印象的だ。

 

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もともとは三井銀行下関支店として建てられ、1933年に山口銀行の前身である百十銀行本店を経て、1944〜1965年まで山口銀行本店として使用された。

 

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現在、内部は「やまぎん資料館」として見学可。

 

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アカンサスをはじめ、ロゼット、ビートアンドリール、ウィータ〜リーフ、エッグアンドダーツ…様々なモチーフが織りなす天井の石膏彫刻。

柱頭や持ち送りにも注目したい。

 

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ロビーの亀甲タイルが実にモダンで、古典的な彫刻やセセッションな外観とは対照的で面白いところ。

 

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優美な曲線を描く欅づくりの螺旋階段が美しい。

 

 

どんどんいくよー。

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旧秋田商会ビル

設計:西澤忠三郎

竣工:1915年

日本の近代建築史を語る上で外すことのできない、和洋折衷の建物

現在は観光情報センターとして一般公開されている。

 

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国内最初期の鉄筋コンクリート造で、地上3階建て地下1階、塔屋付き。屋上には日本庭園が広がり、入母屋造りの離れ座敷が。

 

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1階部分はカウンターが設けられた事務所と応接室。

 

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階段室前、漆喰の下がり壁に据えられた米国製の時計は建築当初より動き続ける。
 

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2,3階はかつての住居部分で、書院造の和室。
外観からは想像もつかない重厚さが面白い。

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階段の手摺親柱には、一文字三星。 「一」が角ばっているこの紋は長府毛利家のもので、特別に許可され社章として使われた。

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木製の螺旋階段を登れば屋上の日本庭園。 数年前まで年2回公開されていたものの現在は立ち入ることができず、今後も一般公開の予定はないらしい。

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以前に一度見学させていただいたことがあるのだが、その日はカメラの電池切れにつき、なんとか電源の入った一瞬にこの1枚しか撮影できなかった…残念😭
 

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少し離れてみると屋上の離れが見える。

 

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ただただその存在感に圧倒される。

 

さてさて次の建物は、このすぐお隣。

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下関南部町郵便局

設計:三橋四郎

竣工:1900年

赤間関町郵便電信局として建てられた、現存最古の郵便局舎である。

 

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厚さ60センチもある外壁の煉瓦が重厚なルネサンス様式。現役の郵便局として未だ営業中である。

 

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カフェやギャラリーも併設しており、中庭はどことなくスパニッシュな雰囲気。

 

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惜しむらくは、ここ数年前面の街路樹が伸びすぎて、正面からの全景が撮れないこと。 しかし近代建築愛好家にしてみれば、隣の旧秋田商会ビルとの並びは垂涎モノであろう。

 

 

うーん、もっとテンポよく紹介していくつもりだったが、なかなか書き始めると止まりませんね。

次回も市街地のタテモノを紹介予定。

今回はここまで。

 

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それでは。