我が国における陶磁器生産の発祥の地として知られる有田町。
欧州でもその名を轟かせた「IMARI」「NABESHIMA」「KAKIEMON」を産出したまちには、町人文化が根付き、多くの商家が建ち並ぶ。
山間の静かな町並みに、かつての隆盛を見た。
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佐賀県はぼくの住む下関市からは意外とそう遠くない。といっても近くはないが、例えば福岡県久留米市に行こうとすると、高速道路上で福岡と佐賀を出たり入ったりすることになる。鳥栖や基山のほうが全然近いし、八女や大牟田は遠いな…って感じ。
この日ははじめから有田に行こう!と思っていたわけではなく、長崎市で所用があったので、その帰りに立ち寄って小一時間散策した。
表通りからではなく、まず裏通りを見ていく。
これは「トンバイ塀のある裏通り」と呼ばれる場所。トンバイとは窯壁に使用する耐火レンガで、古くなってしまったものを再利用して土塀を作る。伝統産業都市を形成する美しい景観。
レンガの釉薬と黒板壁の色合いが、曇天と相まって静けさを引き立てる。
建物の隙間から遠くに覗く、あのアクロバティックな建築物は何だろう?
角地に立つ建物は、隅切り部に入口が。アールを持った庇がたまらない。
ふと視線を感じて振り向くと、民家の窓際にネコチャン!
通りの先にそびえる木造三階建ての工場。
岩尾磁器工業 上有田工場。もちろん現役で稼働している。
狭い路地から見上げるとこれだけ大きいのに、威圧感を感じないのは壁面の優しい色合いのおかげだろうか。
生活道の中にあって、地域住人に寄り添う風景。
グリッドの歪みまくった窓から覗く小鳥たちがまた優しい。
この工場を眺めるだけで何時間でも過ごしていられそうだが、そうも行かないので先へ進もう。
トンバイ塀と淡い色味の下見板、レンガの共演に別れを告げる。
お寺の前に掛かるらんかん橋…あまりに堂々としてて見落としそうだけどトマソンだな。
反対から見ると完全に塞がれてる。
さて、そろそろ表通りの方に向かってみましょうか。
レリーフが貼られた蔵の横を通り抜ける。これも磁器なんだろうな。
ここにもトンバイ塀。
表通りには伝統的な商家の家並みに加え、洋館、看板建築が入り交じっており、嘗ての繁栄の様子が伺える。
アカンサス文様の意匠。
飲食店や喫茶などより、圧倒的に多い陶磁器販売の店。
それぞれ全く雰囲気の異なる意匠を持ちながら、街全体としてまとまりがある。
ネコチャン!里親になりたかった…[お店がお休みだった)
さて、今回はここまで。
それでは。
つづき