「有田千軒」と呼ばれるほどの隆盛を誇った町並みは、文政11年の台風と火災によってほとんどが消失。復興の後、幕末期には洋館が建てられるようになり、昭和期の道路拡張を曳家などで乗り越えてきた町並みからは、実に多彩なエネルギーを感じる。
窯元の屋敷に凝らされた意匠にも嗟嘆せざるを得ない。
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前回の最後に紹介した深川製磁の本店、そこから振り向いて驚いた。
白漆喰の蔵と並ぶ浅瓦葺の擬洋風建築は旧田代家西洋館(有田異人館)。
有田を代表する貿易商が建てた外国商人のための接待施設だ。
写真だと分かりづらいが、アーチ型の窓の欄間がステンドグラスになっている。
ベランダコロニアル様式を模したのだろうか。
籠目のような格子の軒裏と、微妙に和風意匠の持ち送り。
中も見学したかったのだが、ちょっと時間がなくてスルーしてしまった。
緩やかな傾斜と柔らかなカーブ。
交差点名には「札の辻」とある。嘗て高札場があったのだろう。
伝統的な商家の建築と並んで、少し背の高いビル建築。
「サンエス石膏」の看板が目立つ。
隣の和風建築と繋がったこの建物は、「銘品堂」という化粧品店。
反対側には「ツバメ絵具」の看板。
よく見ると、陸屋根だが瓦があしらわれている。
看板にも屋根がある…かわE。もちろん傘電球もね。
こちらも随分立派な屋敷。店舗のほか、座敷をギャラリーとして貸し出しているようだ。
和風モダンなテイストのお店。
こちらは深川製磁と並ぶ高級陶磁器、香蘭社の本店。ちょっと幅が広くて写真に収まりきらない。
門に掛かる表札には創業者の「深川栄左衛門」の名が。ちなみに深川製磁の創業者の深川忠次は栄左衛門の次男である。こちらが本家ということになるのかな。
敷地内へ。
洋風建築部分がショールーム。
コの字型に繋がって…
玄関より正面が事務所棟。なまこ壁が美しい。
お手洗いのタイルの艶!流石というほか無い。
そして水受け部の美しさたるや…
こんなとこまで陶器製。
お向かいには赤繪町工房の店舗。香蘭社のブランドの一つだ。
鉱滓煉瓦で積まれた建物に赤レンガのオーダーのような意匠。
有田町消防団 第1分団第3部 消防格納庫。
今右衛門窯の明るい壁面は、シックな色合いの町によく映える。
しかし足早に通り過ぎるばかりで、悲しくなってきてしまった😥
他にもじっくり立ち止まって見ていきたい建物がたくさんあったのだが、ちょっと時間が…もう帰らねば。
最後にさっきからこちらを誘ってきている脇道を見ていこう。
格納庫裏の路地。美しい以外の言葉が出ないね。
なんとなく建物の間の水路に目をやると…
渡り廊下になってるじゃないか!反対側からも見てみたかった…
また別の建物の間の様道を登れば…
可愛らしい名前の美容室。
早歩き、どころか駆け足気味の散策になってしまったのが悔やまれる。
また時間をゆっくり取って訪れたい。
いつかは古伊万里の一つでもポンと買えるようになりたいね。
それでは。