
あまりにも瀟洒なアール・ヌーヴォーの洋館と、日本庭園の対比が織りなすクラシカルな空間は、まさに"華麗なる一族"と呼ぶに相応しい富豪の邸宅。
時代を超えて受け継がれる本物の美しさに会いに。
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安川邸を訪れたのち伺ったのは、お隣の旧松本邸。
安川財閥の創設者 安川敬一郎の二男、松本健次郎によって建てられた貴紳住宅である。

お隣といっても、庶民の住宅街とはワケが違う広大な敷地なので、数歩歩いてホイとはいかない。現在は西日本工業倶楽部の倶楽部館として管理されており、レストランやウェディングで利用できるほかは、年一回の公開日を除いて基本的に非公開である。
むかし知人の披露宴で入って以来だが、あのときは写真撮って無いのよね…。今回は隅々まで見ていこうと思う(例によってこのあと何回か訪れれているので、まとめてストック放出していきます)。
っていうか門の前で既にその荘厳さが漂っている。

でででデカい。圧倒的な佇まい。
設計は辰野金吾。もはや説明不要であろう。

日本におけるアール・ヌーヴォーの導入としては初期の部類である。家具まで一貫してアール・ヌーヴォー制作されており、ここまで本格的なものは他には無いと言われる。
ハーフティンバーにドーマー、煙突で数え役満!

まずはぐるりと外観を見ていこう。日本庭園に面した南側にはベランダが設けられる。


ここでお茶会や立食パーティなんてベタな想像をして、上流階級の暮らしに思いを馳せてみる。

ちなみに「のだめカンタービレ」の千秋先輩のお母さんのお家はおそらくこの松本邸がモチーフだと思われる。もっともこの描写は回想シーンのみでしか見られず、作中で実際に行ったときには横浜市の"旧内田家住宅(外交官の家)"にそっくりであったのだが。どちらにせよ大豪邸やんけ。

正面でも見られたが、ドーマーと合わせるように弧を描いて持ち上げられた庇が美しい。


玄関から内部へ。

入ってすぐに大ホール。大胆な曲線がふんだんに用いられ、あちこちからアール・ヌーヴォーを感じる。

大理石のマントルピースも曲線で構成されている。あまりの豪奢さに言葉が出ない。

2階へと続く階段はまるで歌劇場のよう。
実際このホールではサロンコンサートが行われていたりする。


先ほど外側から見たベランダに出てみよう。


床は英国ミントン・ホリンズ製のタイル。

ベランダ内部も凝っている。

ベランダから貴賓室へ。

朝日(このときの時刻10:00ちょっと前)が差し込む空間。
美しすぎて涙が出るね。

窓から庭園を望む。正装で夜のパーティなんか参加してみたいね。

こちらの暖炉は直線基調だが、細部をよく見るとアール・ヌーヴォーの特徴が。

食堂へ。

こんな空間で食事だなんて…緊張してカトラリーを落としてしまいそう。

ここにも備え付けの暖炉が。横においてある箱は燃料である石炭を入れるもの。

曲線の中に収まる直線。


オリジナルのカトラリー類。"KM=松本健次郎"のイニシャルが入る。


窓やドアの上部には雲のような形の意匠が施されている。
ひとつひとつ描かれるものが違うのも凝っているなぁ。

広い廊下を抜けて再び大ホールへ。

書斎の本棚。これぞアール・ヌーヴォーの真骨頂!といった造りで、なぜ引きで撮らなかったのか悔やまれる…(ホントこの画角でしか撮らないなんてある?)

さて、次回は2階を見ていこう。
今回はここまで。

それでは。
つづき