高低差の激しい狭隘な路地を往けば、時折現れるぽっかり空いた空間。
建物が無くなってしまった場所に、誰かが住んでいた記憶が残る。
階段の島。
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引き続き保戸島散策。
袋地というか囲繞地と言うか、階段と他の建物に囲まれた土地があった。
浴室だろうか、タイルの貼られた部屋の跡と窓枠だけが残っている。
きっともうこの土地が活用されることは、ない。
階段を登ったと思ったら、さらに登る道とクラル道とで分岐する。
人生のようだね…
狭い路地であるからこそ、建物の入隅まで上手に活用。
タイルの洗い場兼雨水の排水溝がすっぽり収まる。
いきなり視界がひらけたと思ったら、民家の屋上だ。
海沿いの陸屋根っていいな、と思いつつ、排水機構の心配をする。
島のネコチャン!
あまりにも建物が密集しているので、雨の日でも傘をささずに港まで行けそう(実際には庇の間に雨が流れ込んできてずぶ濡れになるだろうが)。
緑のペンキは初めて見るスタイルです。
ええ…一体どうなっていますか…
折り返しに美しいアール付きの段差を挟むさりげなさ。
建物が取り壊され更地になった土地には緑が生い茂る。
この島で、今後新築の物件が立てられることはおそらくないのであろう。
緩やかに、衰退へと向かう儚さ。
電柱の影に隠れて…
いましたね、タイルの洗い場。ちょっとしたテーブル付き。
浴室とその「壁」があった。
これは実にいいトマソンではないか…。
居住部は上に上にと伸びたのか、下へ下へと伸びたのか。
庇が噛み合ってトンネルのよう。
「この先は行き止まりだろう」
そういった想像を常に超えてくる。
ねじれの美しさに木を撮られ勝ちになるが、左側に見える丸みを帯びた階段にも注目したい。
地図には表しきれない細かい分岐が飽きさせない。
登ったかと思えば降りていく。
一生この路地で遭難していたい。
段差に沿って這う雨樋。
排水用の溝が彫られている。
こんなところに小料理屋が。営業してるのかな?
あまりにも細く急な階段が続くもんだから、必然的に縦構図が多くなってしまう。
まるで目の錯覚のよう。
もう似見える階段はどこへ繋がっているのだろう。
この路地には数軒の商店が並んでいた。
いちおう島のメインストリート…ということになるのだろうか。
路地の横道に目をやれば、奥にはやっぱり階段が。
たばこ屋さんと路上園芸。
おや、また浴室のトマソンかな。
これはトイレかしら…?
残された壁がまるで額縁のよう。
洗濯物の絵が掛けられているみたい。
さて、今回はここまで。
それでは。
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