狛犬、こまいぬ。
高麗犬、拒魔犬、胡摩犬……とその名の由来は諸説あるが、神殿を護るため参道にて佇む獅子の姿は我々にとって馴染み深いものだろう。
そんな空想上の生き物たちのなかでも、ちょっと不思議なヤツらを探しに。
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今日、我々が目にする機会の多い狛犬の起源は古代メソポタミアまで遡る。
今更読者諸賢に説明するまでも無いと思うが、「犬」ではなく「獅子」と「狛犬」という空想上の獣で、寺社仏閣にて同じく親しまれる仁王像と同じく阿吽・吽形から成るタイプは、仏教伝来より後に体系付けられたとされ、地域による特色も強く多くの人の鑑賞・研究の対象とされてきた。
まぁぼくはアカデミックに研究しているわけではないので、ここで狛犬の歴史や分類について語りたいわけではない。まち歩きの過程で見かけた、「ちょっと変わった狛犬」を紹介したいだけです。
ちなみにタイトルの「へんなこまいぬ」は、早川いくを氏の著作『へんないきもの』のオマージュである。早速見ていきましょう。
※ここで紹介する狛犬の一部については、盗難・窃盗の危険性も考えられることから、敢えて所在地を伏せているものが一部ございます。お問い合わせ頂いてもお答えできませんので悪しからず。
創建は弥生後期、景行天皇のころともいわれる某神社。
非常に急な坂道を上った先(車高の低い車はゴリゴリいっちゃうよ、ぼくがそうだった…)に、その狛犬は鎮座している。
おわかりいただけただろうか…
いますよね、玉に乗ってるあのコたち…じゃなくてもっと下の方。
ほら。
こ…こまいぬ?
お前…狛犬なのか?
吽形ちゃんはワニワニパニック風。
これはいわゆるはじめ狛犬と呼ばれるタイプではなかろうか。
庶民が寺社仏閣に狛犬を奉納する風習が多く見られるようになったのは江戸期に入ってからだというが、おそらくそれまで実際の狛犬を見たことがなかった当時の石工たちが、伝聞で聞いた特徴から想像を膨らませ形にしたものだと思われる。
見よ!この愛くるしいフォルム!
後ろに控える狛犬ちゃんたちは馴染みのある姿です。
境内には樹齢1000年を超えるとも言われる大杉が聳え、この地を長きにわたり見守り続けてきた。
拝殿側面には鬼瓦コレクション。
初っ端からなかなか濃ゆいのを紹介できました。
さて、次に紹介するのは同じく顔面四角い系。
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上記過去記事内でも紹介しているが、こちらの狛犬もポリゴン的フォルムをしている。
最初に見たときは、風化によって首の部分が折れてしまったのかと思っていたが、上から見るとちゃんと顔があるではないか。
少しどっしりとした体型と、阿吽の綺麗な歯並びもかわE。
参道を中国自動車道が跨ぎ、カルバートを潜ってみると…
ほら、いますね。
こんなところに。
なんともアクロバティックで元気な狛犬さんであるが、これはおそらく県内でも2、3番目に古い(1762年)狛犬と伝えられる。宝暦12年だぜ。
石灯籠の高さは2メートル強。高いところに登ってちょっと自慢げな感じもかわEね。
今回最後に紹介するのはこちら。
この神社へは、別の目的(民俗的に極めて珍しい土木遺産)を見に訪れたのだが、その帰りにちょっと頭の大きい狛犬さんをみつけた。このときはあまりしっかりと見ていなかったが、首周りの装飾にも獅子の顔が見られ、台座も含めた細かいディティールなどから比較的新しいものだと考えられる。
気になったのはしょんぼり顔に反してあまりにも殺傷力の高そうな爪!
ひょえ…これは紛うことなき神殿の守り人ですわ…。
さて、今回はここまで。
ぜひ皆さんもお住まいの近くや旅先での狛犬ちゃんとの出会いを楽しんでくださいね。
御祭神へのお参りも忘れずに!
それでは。
つづき