別府・由布院と並んで豊後三大温泉の一つに数えられる天ヶ瀬温泉は、古くは天領であった日田の代官らが訪れ、近世では筑豊の炭鉱関係者の保養地として賑わった温湯(いかり湯)。
町を歩いて疲れた足を、川沿いの共同露天風呂で癒やす。
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杖立温泉の路地(背戸屋)めぐりの後、峠越えしつつ北上し天ヶ瀬へと向かう。
こういう峠道に入っていくときの不安感と若干のワクワク感のせめぎ合い…嫌いじゃない。でも車が汚れるのはイヤね。
道中、というか大分の道を走っているといつも思うことなのだが、状態の良い蔵が残っているお宅が多い。農村地区によく見られるのは山口でも同じだが、これほどキレイに、しかも紋入りで(補修されつつも)多く残っているのは大分の特徴といってもいいのではないだろうか。
他にもかなりの数を見つけることができた。
こういった屋根形状のお宅も比較的よく見かける。
あと大分といえば鏝絵ですね。有名なのは安心院のあたりですが…
天ヶ瀬の近くでもすごく上品な鏝絵を見つけました。
さてさて、こんな調子だといつまで経っても温泉郷へたどり着かないので先を急ぎましょう。
やってきました天ヶ瀬温泉。
ぼくは九州北部の温泉の中ではトップクラスにここが好きで、以前は度々訪れていたのだが、なかなか来ることができなくて3年ぶりの再訪である。
ここも杖立や黒川と同じく、令和2年7月豪雨で甚大な被害に遭っている。玖珠川が氾濫し道路まで濁流が流れ込み、橋や家屋が流されていく衝撃的な動画をニュース等で見た方も多いのではないだろうか。
ぼく自身大好きなまちなので、微力ではあるが再生プロジェクトとして行われたクラウドファンディングで、少額だが寄付をさせていただいた。
あちこちに残る大きな爪痕を確認しながら、復興に向けて立ち上がったまちの様子を見ていこう。
川沿いの温泉郷といえば発電施設。
消失してしまった橋。なんとも痛々しい…
掛け直されるのかフェンスなどで補修するのかわからないが、測量中の作業員の方達がいた。この端の下にあった共同浴場「鶴舞の湯」も休止中…というか崩壊していた。
玖珠川に沿って南側の通りを歩く。
通り沿いの旅館は営業しているであろうところは見られず…
一軒のみ、開いている商店を見つけたが、その他はすべて休業中か、廃業・解体されてしまっていた。まさかこれほどとは…歩きながら少し涙してしまった。
くよくよしても仕方がないので、川沿いに降りて共同浴場に入ろう。
天ヶ瀬は川沿いにいくつもの共同露天風呂があり、その殆どを100円ほどで利用できる。もちろんタオル等は持参しなければならないが、観光客のみならず地元の方もよく利用されている。
まずはこちら、神田湯(じんでんゆ)から。
脱衣所、目隠し等一切なし。もちろん混浴です。
入ります。
ちなみに向こう岸のホテルや民家からは丸見えです。この開放感よ!(そういう性癖ではないです念の為)
お湯は無色透明ながらも、藻が凄いのでかなり滑ります。
以前入った時はもっと熱かったような…後で地元の方に聞いた話だと、ここ最近は少し温度が下がっている感じだそうな。
さて、次へ。河川敷を歩いていきましょう。
この護岸を超えて川が氾濫したなんて…悪夢のようでにわかには信じがたいが、道路沿いの廃墟の内部に残る砂を見て、疑いようのない事実であることを確信した。
自然の前に人間は無力である。一日も早い復興を祈ります。
2つ目はこちら、薬師湯。
あれ、前は目隠しあった気がするんだけど…まぁ気にしない気にしない😅ここも混浴です。
少し熱めの湯加減…よし!一日歩きまわって冷え固まった身体がほぐれてゆく。
色づく山の木々も美しい。
さて、今回はここまで。
次回も共同露天風呂を巡る。
それでは。
つづき