おなかがよわいお坊さんはあわてない

おなかを壊しやすい僧職系男子、まち歩きのススメ。

防府市 : 防府駅周辺のドボクなモノ

かつて防長に高い技術を持った石工集団がいたことを伺わせる珍橋と、地域の暮らしを支える日本最大級の円筒分水工。

防府市の土木建造物散策。

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防府は仕事でもプライベートでも年に数回は訪れるまちである。

普段の生活圏よりは外にあって適度に「お出かけ」感があるし、かつそこまで遠くないので日帰りにもちょうどいい。下関からだと周南や岩国だとやや遠く感じる。

防府はいかにも地方都市と言った感じの微妙なレベルで栄えつつ、宿場町の名残で古い町並みも残っていたり。海沿いは工業地帯のため駅周辺には飲み屋街が多く、ちょっと郊外に出れば自然豊かな風景も広がる。

うーん、これぞ山口県の都市といった感じで割と好きなんですが、(一般的に)何かあるかと聞かれれば返答に困ってしまう。防府天満宮とか毛利家屋敷とか…?

 

さて、今回の(と言いつつ1年以上前のコトなんですが)目的は土木なモノ。

先ず訪れたのはこちら。

塩。これを見に来た…わけではなく、この塩田記念産業公園内にある橋を見に。

 

これが目的の「枡築らんかん橋」である。

国内でも現存するものが少ない石刎橋で、塩田で栄えた大浜地区に残る江戸時代の産業遺産。

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構造としては日本三大奇橋の猿橋と同じく刎木(石)に支えられるのだが、こちらは花崗岩によるもの。橋の中央部は満潮時でも上荷船が通行できるよう、橋台より高く掛けられる。これは製塩が盛んであった瀬戸内によく見られる特徴だ。といっても現存している石刎橋ってその殆どが山口県なので、あまり比較のしようがないのだが…(岡山にもいくつか見られる)

 

端に穿たれた孔は、その名が示す通り欄干があった名残。

かつてはこの大浜の地だけで9橋あったが、現在は3橋のみが残る。これは移設してきたもの。

 

公園は入園料がかかるが、製塩に関する展示はなかなかに見応えがある。

スタッフさんの対応も素晴らしく、非常に充足感の高い施設であった。

製塩体験もできるぞ!

 

労働…ツライよね…

 

塩作り体験施設。

 

この煙突はかん水を釜屋で煮る際の煙を排出するもので、国の登録有形文化財

 

さて、閉園時間ギリギリに訪れたのでサクッと次へ向かいます。

先程「枡築らんかん橋」が3つ現存すると書いたが、その2つ目は佐波川SA(下り)に移設され、残す1つはすぐ近く、かなり良い状態で残されている。

 

それがこちら。

 

周りは工業地帯になってしまっているが、かつてはこの川を上荷船が行き交ったのだ。

 

夕日に照らされ。

 

マルフクとのよくばりセット。

 

県内にいくつか見られる石刎橋だが、産出される石材によるのだろうか、山陽側では花崗岩を用い山陰側では玄武岩を使用するといった地域差もあるようで興味深い。

石刎橋に関連する記事

この記事中に出てくる住吉宮の太鼓橋や、

平安古地区の「平安橋」や川島地区の藍場川にかかる橋などを過去にも(軽く)取り上げた。他にもいくつか採集しているので改めて記事にしたいと思う。

 

さて、そろそろ次の目的地へ。

防府総合用水 円筒分水工を見に来た。

こちらがその円筒分水工。現存する中では日本一の直径を誇る。

円筒分水の何たるかがわからない人は自分で調べてみてね。

 

かつて「人が死ななければ梅雨が明けない」と言われるほどの暴れ川であった佐波川のコンクリート堰の傍にある。

 

流入した水は6本の幹線水路へと分水され、地域の疏水に貢献している。

 

しばらくぼーっと眺めていたのだが、この後急に日が落ちた(冬なので)退散した。

 

というわけでまた改めて…

 

今度は初夏にやってきた。

新緑(というには少し遅いが)が眩しいねぇ。

 

分水された水は各地区へ。

 

 

この日は6月半ばだと言うのに既に30℃を超える真夏日であったのだが、この水の流れる音を聞いてるだけでも随分涼しく感じるね。

 

おう、好きな水路選べよ。

 

ここで泳ぎたい…

 

さて、今回はここまで。

それでは。

つづき