今なお営業を続ける店舗が残る、木造アーケードの到津市場。
かつての賑やかさは何処へ、大部分が廃墟と化してしまった。
それでもなお我々の心を掴んで離さない魅力を感じるのは、単に前近代への懐古主義からくるものだろうか。それとも大型商業施設等の台頭によってまちが均質化され、アイデンティティの喪失を感じてしまっているからなのか。
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今回は外観を見ていこう。
前回はアーケード内部を散策し、こちら側から出てきた。
左側にはタバコ屋さんの跡。
カウンターにはシャッターが降りている。自販機も全て撤去されてしまったようだ。
右方向へ壁沿いに進む。
軒先に無造作に積み上げられたモノたちは、既にこの景色の一部と化していて違和感を感じない。
雑多ではあるが、まとまっている印象を受ける。
構図の収まりも良い。
こちらは2階の内部が見えてしまっている。
F字状に伸びるアーケードの真ん中の入口部分。
前回紹介した現役店舗の看板。
年季の入った火災報知器と消火設備。
消防の立入検査はクリアできているのだろうか…。
しばらく乗った形跡の見られない自転車と、車輪付きの大型消化器。
火事が出たらこの長屋群は一発でアウトだろうな。
お気づきの方もいるかも知れないが、撮影した時間帯(日付も)が違う写真が混在している。
日の当たり具合によって、また違った表情を見せてくれる。
部屋の中に見える照明は、おそらくもう明かりが灯ることはない。
そろばん教室はいつまでやっていたのだろう?
最初の入口部分へ戻ってきた。
入口隣にはお米屋さん。
単なるノスタルジーではない。鼻の奥がむず痒くなるような、あの懐かしい感覚を求めるにはここは退廃的過ぎる。
古いもの、いやバックボーンを持ったものと言い換えたほうが適切か。
それらに対して興味を惹かれるのは、他者の記憶を自らの想像上で演じさせ、更に自身を投射することによって得られる一種のカタルシスを欲しているからではないだろうか。
浄化を求めて、明日はどこへ行こうか。
おまけ
商店街周辺で見つけた階段。途中までコンクリでできている。
このタイプは初めて見たなぁ。
それでは。