木造アーケード…これから先の時代に新たに建てられることは無いだろう。
現存するそれらは、緩やかに絶滅へ向かっている。残された時間は長くない。
生物に例えるなら、いのちが途絶える瞬間に最後の力を振り絞り、一瞬の煌めきを見せる…。木造アーケード商店街という生命にとって、まさに今の時代がその時なのかもしれない。
だから今日も会いに行くのだ。完全に潰えてしまう前に。(とか言って撮影してたのは結構前なのはナイショ)
北九州市は現存する木造アーケード商店街が多い。そのうち巡ろうと思っているうちに、既にいくつかは閉業、解体されてしまっている。
"そのうち"、"いつか"なんて当てにならない。明日も明後日も1年後もその先も、いまと同じようにあると思っていたものが、突然無くなってしまって、もう手遅れ、なんてありふれた話じゃないか。なにかをやるときに、すべての状況を整えてから、なんて言っててもそれはきっと実現しない。
やはりこういうものの姿を拝もうと思えば即行動に移さねば。
さて、今回訪問した到津市場。前回紹介した木町市場からそう遠くない。
先に言っておく。今回もアーケード内部の写真はブレブレだ。
本当にね、ぼくのカメラ(RICOH GR)暗所撮影ダメなの。ぼくの腕が悪いのは否定しない。
早速潜入。
あ、ピントあって無くて目がクラクラする。ご容赦くださいませ。
Fの字が縦に伸びたようなアーケード、Fの右上の部分から攻めていく。
「氷」の力強い赤文字と、看板上のコンテナとコーディネートしたかのような非常口の案内。その対比が面白い。
早速突き当たって左に折れる。
降りてしまったシャッターがずらりと伸びる。
片流れ形状の屋根からはわずかに陽光が差し込み、くすんでしまった装テンをわずかに照らす。
2階部分は住居だったのだろうか?
上記写真の左側、ポスターが貼ってあるところのガラスを覗いてみる。
廃。
振り返ってみる。
ここがF字の真ん中部分。
そのまま後退。
屋根形状が切妻になった。
明り取り意外の部分からも明りが降りてくる。こちら側の屋根のほうが痛みが進んでいる。
「調味料の店」…。寺社仏閣の扁額のようにも見える堂々とした佇まい。
F字の下部分、アーケード出口へと向かう。
かわいいフォントの「いとう食料品店」。
住居表示もかわいい。
「ミート デリカショップ にしだ」。このアーケード内の現役店舗は、入口部分にあった青果店とこちらの2店舗のみ。
ちょっと画像内に情報が多すぎて目の焦点が合わない。いい空間だ。
鮮魚店の軒の上にはスチロール箱が積まれている。
こちらの商店の看板にはなぜか焼酎パックがいくつも貼り付けられている。
2階の型板ガラスが素敵。
撮影していると、学生さんだろうか?「にしだ」でお弁当を注文し、椅子に腰掛けて出来上がるのを待っている。軒部分の模様がまたレトロで良い。
ああ、いよいよ出口が近い。
既に何度目かの訪問だが、いつもこの空間から離れるのが名残惜しい。
もう一度振り返る。
これにて内部の散策を終了。
次回は壮絶な外観を眺めていく。
最後に、看板の裏にちらりと見えた万国旗。(と言ってもイギリスのみだが…)
かつてはアーケード内に張り巡らせられ、スピーカーからは賑やかな音楽が流れていた時代もあったのだろう。
それでは。