防府市三田尻から萩城までの御成道として開かれた萩往還。かつて維新志士たちが往来したこの街道の途上には、日本最古の天満宮とも言われる防府天満宮が鎮座する。その門前町の賑わいは歴史とともに南下し、商業の中心地が駅周辺に変遷してきたことが伺える。参道上に形成されたアーケード付き商店街と、その周辺を歩いた。
古くは国府が置かれた地であるが、今日では大型ショッピングセンター等の進出により、旧来からの店舗は衰退が著しい。行政も観光振興に力を入れているようではあるが、やはり工業都市としての性格が強く、いまいち成果が出ていないように感じる。防府天満宮の表参道には長い商店街が通る。道路によって分断され、北側を天神商店街、南側を天神町銀座商店街(通称:幸せます通り)という。
天神商店街はこれと言った見どころもなく、どこか寂しげな雰囲気が漂う。防府駅から天満宮への導線であるものの、実際観光客が足を止めるのは天満宮の鳥居周辺の宮市エリアぐらいのものだろう。
道路を渡って反対側を見れば…
ピンク色の可愛らしいゲート。しかしせっかくのデザインも電線によってゴチャっと見えてしまう。日本を代表する天満宮があり、かつ古寺や史跡が多く残る土地において、こういう景観に対する意識の低さは、いかがなものだろうか。
ほらね、せっかく可愛いデザインなんだから見せてかなきゃ。
アーケード内部もピンクを基調とした柔らかい雰囲気。店舗が無くなってやや開放的すぎるのが寂しい。
いきなり気になる横道が見えるが、まずは内部を進んでいこう。
古い商店街に古書店はつきもの。新品の本とは違う、少し埃っぽい匂い。嫌いではない。
店頭の色褪せた雑誌は、きっともう何年も開かれていないのだ。
昔ながらのテーラーで、ちょっといいスーツを仕立てるのが小さな夢であった。
今はもう、町中でこういったテーラーを見かけることも殆どない。
また一つ、店舗がなくなろうとしていた。すっかり風通しの良くなってしまったアーケードを振り返る。
土曜の午後、空いている店舗は数えるほどしか無い。たまたま閉めているのか、はたまた閉業してしまったのか…
商店街のシャッターアートは、決して上手すぎてはいけない。そういうものだ。
絶妙な塩梅が求められる。
「ダックス理容所」
この佇まい…好き。
大好き。
みんなも好きでしょ?
ほら。
「白藤刃物店」。
切れ味の良さそうな店名のフォントに加え、「名刀の切味」…。これで切れないハズがない。
反対側に出た。右手の重厚な以前は建物は銀行だったか。もはや思い出せない。
さて、途中まで折り返して横丁を見ていこう。
煉瓦通り…という名だが、煉瓦要素どこ…?
ファッションは、ヘアから
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お二階"え"どうぞ…セブン美容室
廃墟…いやトマソン?
でも車庫として使われてるなぁ。もう何年もこのままだからトマソンではないか。
「食事処 路子」…いい名前だ。
証明にはさり気なく、「丼ぶり うどん 天ぷら」の文字。
隣は「ビューティサロン マチコ」。
このあとは周辺の盛り場を日が暮れるまで散策して、また夜に商店街へ戻ってきた。
次回は、周辺の飲み屋街を中心に紹介したい。
つづき
それでは。