八幡西区の幹線道路沿い、郊外型の大型店が建ち並ぶこのエリアに、昭和に取り残されたままの小さな市場がある。間口の広い木造アーケードは、ぽかんと大きく口を開けた顔みたいで、未だに人が来るのをのんびり待ち続けているかのようだ。
北九州市の副都心とも言える黒崎。駅からペデストリアンデッキで直結の百貨店や、駅を中心に放射状に広がる大規模な商店街が栄えたのはかつての輝き。いまや駅ビルはテナントが撤退し売却予定、商店街はものの見事なシャッター街と化している。
しかし八幡西区全体で見れば、北九州7区の中で最も人口が多く、経済規模も大きい。
黒崎駅前に走る国道3号線を西へ進むと、道路沿いに異質なトタニズム建築が現れる。向かいにはドンキ、ゲームセンター、ニトリ、しまむらなどの大きな看板が目立つため、そちらに気を取られていると見落としてしまいそうだ。
貞元市場。
向こう側がすぐそこに見えるほど短い木製アーケード。
早速中に入ってみよう。
開放感…を感じるにはあまりに陰気な空間ではあるが、天井は高いし幅も広い。
各店舗は足元の白い印まで陳列棚を並べていたのだろう。中央が客の通路か。
採光部から降り注ぐ陽光に照らされる錆。
イカちゃんかわいい。
スポットライトに照らされているかのような、コンクリブロックの半身(なぜ…?)
「天ぷらや」。九州だし、練り物のほうだろう。
アーケードの内側に雨樋がある…あまり一般的ではないような…。
「ネコにエサをやさないで下さい」って書いてあるのに…
天ぷらやから繋がる庇。同じ店だろうか?
この妻壁は…まるで聖堂のステンドグラス。
ここにもスポットライト。
ざらついた質感は、長年生きてきたことの証。
奥は一段低くなる。撮影したのは定休日ではなかったが…やはり営業している店舗は無いようだ。
反対側へ抜け出てきた。侘び寂び鄙び、そして錆。
ドンペンが見えます。
ここだけの話、このへん(ドンキのほう)夜になるとめっちゃ治安悪いです。いや、最近はどうだかわかりませんが。
ドンキでたむろしてる輩の多いこと…たまに本職っぽい人もおりますんで、お気をつけ下さい…
もう一度市場内へ。
梁がカッコいいね。
鮮度100% おいしさ度120%。120%やぞ!
鯨肉がメジャーな時代ってのがあったんですねぇ。
ぼくは下関住まいなので比較的よく食べてた(郷土料理として給食とかで出るし、居酒屋に行くと結構メニューにある)んで、あまり特別感は無いのですが。
無造作に置き捨てられたケース。
鯨の竜田揚げが食べたくなってきた。
"ステンドクラス"を背に、入り口方面を見やる。
さて、今回はここまで。
午前中の澄んだ空気と陽光を浴びてなお、市場が活気づくことはもう、ない。
それでは。