良き友と飲む酒はいつもより旨い。
すっかり上機嫌で歩く夜の門司港であったが、気分は一転、事件発生…
前回の記事
何やら不穏な書き出しだが、別に凄惨なことが起こったりホラーな展開になったりすることは無いので安心して読み勧めてほしい(汗)
角打ちからの瓦そばをキメ、まだまだ飲み足りないぞ、ということで次の店を探し求め歩く。
夜の門司港は良い。
年中イルミネーションでキラキラしているが、遅くまでやっている店はそれほど多くないので、クリスマス時期でもない限り夜は比較的静かだ。
ライトアップされた近代建築群を眺めるためにふらつくのもいいだろう。
海へ至る階段。
ひしめき合う歴史的な建築物の中で、ひときわ存在感を放つ旧大阪商船ビル。
そして数ある近代建築の中でも、やはり門司港駅は群を抜いて美しい。
しばらく歩いて、「そういえばさっき、後で"第一ビル"に行こうかな」と考えたのを思い出す。※前回参照
というわけでやってきたのは第一ビルの中にある「たる」さん。
"たる"は"樽"のことであろう、樽酒とおでんのお店。お母さんが一人で切り盛りされていらっしゃる。
みたび目の乾杯。
枡の縁にはオールドスタイルに塩が塗られている。旨味が引き立つ。
樽酒におでんのマリアージュ。
人間関係もこんなに強固な結びつきを築けたなら世界が平和になるのに…(?)
酔ってます。
出汁の良い匂いをつまみに酒が進む。
ふたりとも呑兵衛のため、どんな内容の話をしたかはあまり記憶にない。というか内容のない話ばかりしていたように思う。
ただ、取り留めもない会話を心地良いテンポで話すことのできる相手がいるというのは、とても尊いものだなぁ、と感じたのをはっきり覚えている。
会計を済ませ、「どこか歌える店に行きましょう!」と言われたのでスナックを求めてさまよう。せっかくならぼくも行ったことない店にしようか。
「話」に灯りが点っていた。
たぶん歌う感じの店じゃないよなぁ、またにしようと思ってこのときはスルーしたのだが、2024年1月、この付近を散歩しているときに看板が撤去されているのに気付いた。
「また、いつか」なんてあてにならないな…思い立ったらすぐ行け、振り返ったときにはもう無くなってるぞ、そんな自戒をする。
歌声が漏れ聞こえてくる店があったので入ってみた。店名はたぶん「ニュー坂」とかだったと思う。
もはや何度目かわからない乾杯。
ぼくはいつも最初に加山雄三を歌うことに決めている。
"彼"は野坂昭如のマリリン・モンロー・ノー・リターン。
気持ちよさそうに歌っておられる…
誰か虎ファンがいるのか、"六甲おろし"を歌い始めた。ママさんがユニフォームを着て盛り上げる。
黒電話。
たいへん きもちよく なってきました。
ぼくはそろそろ電車の時間なんで、酔い醒ましに少し歩きつつ駅に向かいましょう。
せっかくなので、闇市をそのルーツに持つ中央市場を案内しながら帰る。
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シャッターの冷たさと蛍光灯の明かり。
実際には暑いのだけれど。
アーケードのちょうど真ん中あたりで一度道路を挟むも、屋根は続いている。
灰色が支配する空間。
少しのクランク。
駅近くまで来たところで、まだ15分程度時間があったので、コンビニで酒を買って植え込みの縁に腰掛け飲む。ここまできたらふたりとも立派なアル中だね…
前回書いたように、彼は「むつみ関門荘」さんに宿泊するそうだ。明日は俵山温泉に一泊するのだとか。
ぼくは翌日朝から仕事だ。
もうすぐ電車がくる。駅までお見送りをしてくれた。
まぁ明後日もまた合う予定なので、今日ハナシたりなかったことはまたそのときにでも。
ここで事件が起きる。
駅前で彼が言う。
「財布とカメラが無いんですけど…」
んん?ひとつ前の写真で持ってましたよね?
腰掛けてたコンビニ前の植え込みからここまで徒歩2分ぐらい…置き忘れたのかと思い早足に戻ってみると…
無い!
コンビニの店員に聞くも所在分からず…少し周辺を探すも見つからず。
とりあえずぼくは時間が来てしまったので、その後のことはまた知らせてくれと言い、走って駅に戻り電車に乗り込む。
心配しつつ下関への岐路をとる。
ちょうど門司駅でデッドセクションのテスト消灯が行われたところに着信アリ。
暗くなった車内で、声を潜めて通話する。
彼「やっぱり見つかんないです…」
ぼく「とりあえずぼく妻が下関駅に車で迎えに来てるから、いったん門司港まで向かってもらうので一緒に探しましょう」
そう伝えたところで関門トンネル内に入り、電波が途切れる…
その後の顛末。
妻に門司港まで戻ってもらい、コンビニ周辺を重点的に探しつつ、彼に電話をかける。
しかし一向に出ない。「走り回って携帯見てないのかな…」と思いつつ、しばらく捜索するも発見には至らなかった。せっかくの楽しい旅にケチが付いてしまったな…彼の心境を思うと胸が痛い。
とりあえず警察に紛失の知らせを届け、連絡の無い彼が気にかかるが帰宅することにした。
翌朝、彼からの電話。
あのあと宿のご主人から「門限だけどうした?」と心配の電話があったそうで、事情を話すと「大変だろうけど、危ないから警察に届けてとりあえず帰っておいで」(優しい…😭)とのことで宿に戻るとそのまま寝てしまったそう。ちゃんちゃん。
とりあえず無事が確認できたので良かった。しかしどこいったんだカメラ(と財布)。
ちなみに現在も見つかっておらず。十中八九置き引きでしょうよ。治安悪いな…
彼「ところで…大変申し訳無いのですが、お金貸していただけないでしょうか…」
そりゃそうよね、帰りの交通費どころか今日明日の宿泊費も無くなっちゃったんだもんね…
ぼく「もちろんです!今から向かいます!」ということで早朝、門司港へ。
彼に現金を渡し、自宅へ戻り仕事を済ます。
いやー、当時は焦ったけど、今となっては良い思い出です😅
ちなみに彼は酔うとスマホやカメラを紛失するクセがあり、その後もTwitterで何度も紛失報告をする度に、ぼくはこの夏のことを思い出して少しクスッとするのであった。(ちゃんと気をつけてね!)
更に後日談。
あれから何人かのフォロワーさんと門司港を歩くことがあったのだが、その度に「ここが事件現場です!」と言って件のコンビニ前を案内しては彼に写真をLINEで送り付けてる程度には笑い話になっている。さながら聖地巡礼。
たしか購入して1ヶ月ぐらいしか経ってないカメラだったよね…。
カメラの初期保証って現物無いと受けられr無いことが多いもんね…。
皆様も酔い過ぎにはご用心を。
今回はここまで。
これは門司港で佇んでたサラリーマン。
それでは。
つづき
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