おなかがよわいお坊さんはあわてない

おなかを壊しやすい僧職系男子、まち歩きのススメ。

下関市 : 稲荷町・裏町遊廓跡とその周辺

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壇ノ浦の戦いに敗れ、滅びゆく平家の女官たちが身を売り遊女となったことに端を発して成立した「稲荷町遊廓」。廓の発祥とも言われるこの地において、遊女は白足袋を履くことを許され、客の上座に座る格式高いものであったという。

古くから下関の中心であった唐戸地区の、忘れられゆく記憶を辿った。

 

 

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唐戸地区といえば、対岸の門司港と併せて人気の観光スポットである。

ベイエリアには唐戸市場をはじめ、水族館(海響館)などが並び、週末は多くの観光客で賑わう。

 

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レトロな佇まいの近代建築群も忘れてはならない。

明治期以降の発展目まぐるしく、全国有数の大都市であった時代を物語る生き証人だち。

その栄華は今なお色褪せること無く佇んでいる。

 

周辺の近代建築については、数も多いしまた改めてゆっくり記事に起こすとして、今回は唐戸商店街の少し北側に存在したという遊廓のはなし。

 

 

稲荷町には、末廣稲荷という小さな神社がある。かつては広大な敷地を有していたようだが、現在は小さなお社が鎮座するのみ。

 

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玉垣は大部分が崩れており、折れた石柱などいくつかはお社の裏側にまとめて積み上げられているのだが、奉納者の銘に妓楼っぽいものがあるのが見受けられた。(写真撮るの忘れました…)

 

神社の表側には、現在の東京第一ホテル下関(現在はコロナ禍の影響により休館中)が建つ。

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このホテルの建つ場所こそが、かつての大楼、「大坂屋」があった場所である。

 

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ホテル玄関横に、大坂屋があったことを示すプレート。

 

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第一ホテル前、旧市街地の案内図より。

ちょっとデフォルメされていて正確な位置関係ではないが、末廣稲荷から南西に伸びる通りが稲荷町遊廓のメインストリートで、それと並行して北側に伸びるのが裏町遊廓である。いったいいつ頃の時代の地図を参考にしたのかわからないが、とにかく賑わっていたことは見て取れる。

 

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第一ホテル正面玄関から降りてくると、クラシカルな佇まいの物件、「喫茶パーラー」。

長年下関市民に愛されてきた「名曲喫茶 こいぬ」がオーナー夫妻の高齢により一時閉店したものの、リニューアルして再復活。

 

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以前からよく利用していたぼくとしては、経営者が変わろうとも、内外装には最小限しか手を加えずにいてくれて嬉しい。

 

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ナポリタンとクリームソーダ


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別の日にはモーニングセットとハニーレモンソーダ

 

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いかんいかん、このままでは純喫茶アカウントになってしまうのでここらへんで。

 

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上記のメインストリートを北側から。左手に末廣稲荷の鳥居が見切れている。

春になると道路沿いの桜で一面ピンクに染まって美しのだが、それはまたの機会に。

 

古くは井原西鶴の作品の中にも登場し、坂本龍馬高杉晋作伊藤博文らの政治談義の場でもあった(もちろん遊んでもいた、余談だが高杉晋作の愛人おうのは裏町の芸姑である)この遊廓であるが、現在は全くといっていいほどその痕跡を残していない。

 

少し周辺を見ていこう。

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このあたりは現在スナックなどの飲食店が多く並ぶ。

南側にはアーケード付き商店街があるが、こちらも後日記事にまとめる予定。

 

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向かい側にもソシアルなビル。

 

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「SNACK クーペ」だって。カッコいいね。

 

さて、本日の目的地に到着。

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稲荷町と裏町の通りのちょうど真ん中に、市内では名のしれた老舗の居酒屋。

その横の小路を覗くと…

 

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ばーん。

目に飛び込んでくるセピアな世界。まごうことなき昭和のにおい。

 

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近くにある馴染みの居酒屋の店主がちょうど通りかかって、この一帯は赤線であったと教えてくれた。

 

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すこし埃っぽい空気。

撮影は6月、これから夏に向かって高まっていくエネルギーは、ここには無い。

時代の流れに取り残されて、ひっそりと佇む。

 

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みんなで集まってワイワイしたいワイ。

 

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ぼくも小さな城でいいから築いてみたいよ。

 

 

さて、今回はここまで。

次回も周辺を散策。

つづき

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それでは。