県境に近い渓谷を抜けると湯の国であった…。
文豪 川端康成が滞在したと言われる山間の温泉郷で、早朝の極上湯を味わう。
大分県は言わずと知れた"おんせん県"であり、別府や由布院をはじめとする著名な温泉郷が多く存在する。
ぼくの住む下関からは上記都市はそう遠くない距離であり、たまにふらっと訪れたりするのだが、どちらかというと静かな温泉にゆっくり浸かるのが好きなため、熊本〜大分の山間部の温泉に行くことの方が多い。
黒川、杖立、わいた、天ヶ瀬、…ほか小さな温泉郷を挙げればキリが無いが、ざっくりまとめるとくじゅう(九重)連山を中心に広がる温泉地が好きである。
朝の5時前に自宅を出発。
なんでこんな早くに出たかと言うと、筌の口温泉以外にも日が暮れるまで温泉めぐりしたかったからである。あと深夜〜明け方のドライブが好きなだけってのもある。
ちなみにぼくは九重の周辺の温泉地に行くときは大抵下道を使う。買い食いしたいし…
というわけで朝ごはん。北九州人にはおなじみの資さんうどん。このとき時刻は5:15。24時間営業なのでありがたいね。
朝メニューのときはうどんは頼まず、これ一択。炙り点定食。
腹ごしらえして出発。
せっかく朝早く出たので、道すがら紅葉が美しい耶馬渓の写真でも撮っていこうかと思ったが、11月の6時台、深い渓谷は真っ暗であった。そりゃそうだ。
7:30頃到着。まずは「筌ノ口温泉 共同浴場」に入湯。
駐車場からのアプローチには、配管のゲートが。
脱衣所にはなぜかお地蔵様。ロッカー等は無くカゴのみ。
浴室に入った途端に漂う金気臭。テンションが上ります。
冬の早朝ということもあり、湯気で真っ白。
この析出物が成分の濃さを物語る。黄土色のにごり湯はナトリウム、硫酸塩が多いのかな。
飲泉も可。
温度は少し熱め。湯上り後も湯冷め知らず。
朝からキマってしまいます…
さて、次へ移動。
お隣にある旅館「新清館」。明治35年創業。
ちょうど周囲の紅葉と相まって雰囲気が良い。
フロントで日帰り入浴の料金を支払い、浴場へ。
休憩室となっているこの空間も心地よさそうだ。あとでまたゆっくり来よう。
露天風呂へはこの様な道を通る。雪が降っているとまた格別であろう。(この温泉に訪れるのは大変だろうが)
混浴の「こぶしの湯」、女性専用の「かえでの湯」がある。周りに植樹した木の種類によって名付けられるのはよくあるパターン。
こちらが「こぶしの湯」。朝日が木漏れ日となって差し込む。
紅葉を眺めながらの朝風呂…最高じゃないか。
今日も良い一日になりそうだ。
源泉はおそらく隣の共同浴場とは違うものと思われるが、成分的にはほぼ同じであろう。こちらの方が広い分やや温度がぬるめ、もとい適温か。
ちなみにこのとき、当然素っ裸でカメラとケータイを持って撮影していたのだが(もちろん撮影許可済みです)、混浴と言うことをすっかり忘れており、ぼくのあとから若い女性が入ってきたので、慌てて脱衣所に置こうと急ぐも、湯が濁っているため底が見えず、何度も滑ってカメラを落としそうになりながら脱衣所に走ってカゴにぶん投げました。
人生終わったかと思った…。
先程の休憩室で一休み。
11月の朝だというのに湯冷め知らず。それどころか暑いぐらいなので瓶コーラをいただく。
この宿は宿泊者のみ入れる内湯もあるのだが、小さな浴槽なぶんお湯の鮮度が非常に良いらしく、次回はぜひ宿泊で訪れようと思う。新緑の頃が良さそうだな。
さて、次の温泉郷へ…
それでは。
つづき