官営八幡製鐵所の操業とともに発展した八幡東区。戦前は合併前の北九州5市の中で最も人口が多く、日本の近代化と高度成長期を支えた工業地区だ。
そんな「鉄(くろがね)のまち」のまちにぽつんと残る、木造アーケードを歩く。
目的地のある枝光のまちは、坂と階段が多いことでも有名である。製鉄所が発展するにつれ、全国各地から労働者の住まいを確保するため、山の上へ上へと宅地を造成していく必要があったのだ。
このあたりの階段巡りも再開せねば。階段の上から望む洞海湾と夕陽は最高である。
さて、枝光中央商店街。
さっそく入っていこう。
大きく開いた採光部のおかげで暗くはないが、冬に訪れたのでコンクリートの地面からしんしんと冷たさが伝わってくる。
花屋の前に、ハットを被った紳士がひとり。(ぼくのことじゃないよ)←
実に絵になる構図、昭和にタイムしリップしたかのよう。
初めてこの商店街を訪れたのは7、8年前だっけ…あの時よりも営業している店舗が少なくなっていることに驚きはしないが、寂しい気持ちはどうしようもない。
正札販売が一般的ではなかった時代を知らないが、少なくともその時代にこの店はあったということか。
看板の形はシャープで端正な印象。
少し歪な直線は、フリーハンドで描いたスケッチのよう。
この角度は浅いがシャープなクランクの美しさよ。
パステルブルーのペンキが褪せた感じは、最近流行りのミルクペイントには出せない"本物"だ。
一度振り返る。降りてしまったシャッターが、気温よりも一層冷たい空気を感じさせる。
ちょうどクランクに差し掛かったあたりから、明かり取りがなくなって少し暗くなる。
「ふるーつ たなか」はちょうど店じまいが終わった後だった。しまった、もうちょい早く来ればよかったな…(この直前に階段巡りしてた)。
斜めシャッターっていいよね。
反対側へ出た。周辺の散策はまた後ほど。
再びアーケード内へ。
味の店…。お手並み拝見と行きたかったが、もう閉業して久しいようだ。
地面に反射する蛍光灯の光。
さっき通った時も思ってたんだけど、そこの赤い君、微妙に主張が強くない?その向きで立ってるの初めて見たわ。
「かない」の深緑色の店名には刷毛の跡が僅かに見える。
マットな質感の文字とは対照的に、奥の生花店の店名には蛍光灯の光を反射するツヤが。
最初の入口部分に戻ってきた。
若干傾いているように見えるが、街全体が山に向かって傾斜しているのだ。(右手が海、左手が山)
さて、次回はアーケードから出て商店街周辺を散策する。
bad boy…
それでは。
つづき