経済の潤った農村地区、白壁に描かれる文明開化のメッセージ。
国の無形民俗文化財に選ばれた習俗は、吉兆の構図の象徴。
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引き続き鏝絵のまちを巡る。
造り酒屋の縣屋さんの向かいには、望楼を備えた屋敷。
市の指定史跡である重松家別邸(明治17年)。
当時のコレラや天然痘と行った疫病を払う象徴として描かれる虎と、2つの丸窓。
窓の周辺にも装飾が見られる。
そしてひときわ大きな富士山が描かれる。
豊後富士…つまり由布岳だそうな。
うーむ、圧巻。
裏手に回ってみて更に驚く。
酒蔵の煙突と競うようにそびえる望楼には、他にも鏝絵が描かれていた。
全国の鏝絵の中でも五指に入るほど優れると言われる作品である、龍と三階松。
色の鮮やかさ、大きさ、分厚さ、鏝づかいに匠の技が光る。龍の目の部分はガラスの内側に金紙が貼ってあり、夕陽に映えるという。三階松は重松家の家紋。
盆地に形成された雅な集落は、一説には芦が生えていたことから"芦生(あしぶ)"の里と言われ、それが「安心」に転じ、中世に宇佐神宮の荘園となり倉院が置かれたことから「院」をつけて「安心院」と書かれるようになったという。
酒造前の水路には鯉が泳いでいた。
農機具販売店には大黒様とクボタエンジン!
看板建築風のこちらには…
こんな長閑な風景が。
確かにこの規模でこれだけの鏝絵が見れる集落は、全国でもここのみであろう。
他区の鏝絵とやや雰囲気を異にし、緻密さよりもユーモアに重きをおいた作品が多いのも特徴か。
ここには複数展示されている。
招きネコチャン!
色の入ってないタイプもあるのね。
他にもたくさん見つけたけど、全部のせちゃうのもアレなのでダイジェストでお送りしています。
良い水路もある〜!
家屋を建て替えても受け継がれる。
旅館なのかと見紛うほどに立派なお屋敷。
純和風建築の旧医院。
何と言っても集落内の個人的ハイライトはこちら。
理容店に掲げられた鏝絵には、破風が設けられている。
「子供の散髪」とタイトルの付いた作品は、"髪"の文字とともにバリカンで弟の紙をそろうとする兄の姿。
弟が悪さをした罰なのか、それとも兄が横暴なのか…
だってこの表情である。
さて、今回はここまで。
それでは。