最盛期には多くの港湾関係者で賑わったであろう門司港の夜、その中心は栄町だった。数え切れないほどの飲食店に劇場、キャバレー、雀荘…。それらのほとんどは既に残っていないが、新しくできたものもある。
移ろってゆく様子と、昔から変わらないもの。どちらも併せ持つこの町の魅力は尽きない。
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栄町銀天街のアーケードの外側には、現在でも多数の飲食店やスナックが建ち並ぶ。
流石にコロナ禍において、その賑わいは衰えを見せつつあるものの、地元の人間が飲みに繰り出すなら観光客向けの店が多い門司港レトロ地区ではなくこっちだろう。
アーケードと平行に走る「仲町通り」を中心に見ていこう。
「やき鳥 松ちゃん」…最後に行ったの何年前だっけ。というかコロナ禍になって以来、ほとんど飲み歩いてないもんなぁ…
道幅が広くないため一方通行であるが、夜になるとよく逆走しちゃってる車を見かける。盛り場では特に気をつけよう。
残された装テンのフレームと、室外機のブラケットの錆具合がレンガ調のタイルにベストマッチ。
「朋友(ぽんゆう)」。ここの肉まんを食べずして栄町を語るなかれ。数年前は「松ちゃん」の向かいにあったんだけど気がついたら移転してた。
ミミガーも美味しいらしいけど、ぼくちょっとアレ苦手なんで…
ちなみに「朋友」の真向かいが前回紹介した栄小路の入り口。
突如現れるトタン、モルタル、鉱滓煉瓦のパッチワーク。
この風景がプリントされたiPhoneケースが欲しい。作ろかな。
仲町通りと交差する新町通りへちょっと寄り道。このまま道路を渡れば、赤線のあった柳町へ。
画質がバキバキなのはISO設定間違えたから。
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「うちの店より後ろの焼き肉のほうが美味いよ!」って言ってるに違いないおじさん。
いや、知らんけど。
再び仲町通りへ。
左側の壁面のギザギザ感も気になるが、ダンジョンへの入口を見付けたら飛び込まずにはいられない。
シャドウを持ち上げてどうにか見やすくしたが、実際にはもっと暗い。非常用表示灯の灯りと、突き当りの天井部分からわずかに漏れる陽光のみが妖しく浮かぶ。
突き当りで90度右へ折れる。
光のコントラストのあまりの強さにカメラが全くフォーカスしない。
抜け出てきた。化石のような室外機。あれ、ここって…?
さっきのおっちゃんのいた通りである。
三度仲町通りへ。
このテのソシアルなビルは盛り場の華。凝った意匠で魅せておくれ。
鮮やかなブルーにオレンジの差し色が眩しい。
以前はこの中のスナックによく連れて行かれたんだけど、日中に来ることがほとんどないので、こんなカラーリングだったのかと驚いた。
右側の細道も、栄小路によく似た角度で美しい。
ファサードはキャンバス、自由に描こう。
室外機のドレーンホースすら絵画の一部に。
前回紹介した有楽街の前を通り過ぎ…
サレットヘルムのような、エントランスが大きく開口したビルが好きだ。
ホワイエのような空間こそ、ソシアルビルの社交場たる所以。
内部に入り込んだ螺旋階段も、2階に大きく穿たれた開口部から見せる。
両端の「2Fへどうぞ」も良いアクセントに。
階段はストレートな部分と螺旋部分とて手摺の装飾のピッチが違う。
どうやら上階は社交ダンスの練習場のようだ。盛り場に社交ダンス練習場が多いのは、かつてのダンスホールやパブの名残か。
仲町通りを下関方面へ抜け右側、栄町交差点へ。
栄町の東端に屹立する下駄履きビルは「小原市場」。
ちなみにこの写真の撮影場所の真後ろが「中央市場」である。
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夕方に来たのでぼちぼち店じまいが始まってるな…
訪れた時間帯がちょっとアレだが、以前紹介した中央市場・ショッパーズ老松・プラザ祇園と比べるとやや賑やかではある。
さて、今回はここまで。
次回はスナックの看板に灯りが灯り始める時間帯に歩いた記録を掲載する。
つづき
それでは。