かつて素戔嗚尊と五十猛命が降り立ったと伝えられる地は、江戸期に商港として大きく発展を遂げた。近代に入り漁港へと変わっていった町並みは、今なお歴史を感じさせる屋敷が見られる。
神話の時代を語り継ぐ、港町の路地を往く。
前回の記事
狛犬ちゃんの記事を挟んで、2022年末の島根県探訪記を再開。
今回は五十猛エリアを散策。
五十猛といえば過去に駅だけは訪れたことがあるが、日本書紀に登場する神話の舞台、という程度にしか知識がない。
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まずやってきたのは国道9号線沿い、和田珍味本店。
こちらでお昼ご飯のお供とお土産を調達する。
駐車場からは日本海を望む。海沿いを山陰本線も通っており、海を背景に電車を撮られる方も多いのだとか。
集落へと向かう途中に、山陰線を横切る。
踏切の向こうに覗く海があまりにも感傷的で、思わず足を止めて眺めてしまう。
漁港へ。よく晴れているが、雲が濁っているのが気になる。
今日は雨振らないでいてくれよ…
小高くなった岬の上に灯台が見える。
海沿いの集落といえばコレ。
五十猛は天然の良港とも呼べるべき地形で、古くは商港として年貢米の積み出しに、現在では漁港へと転換し、県内有数の漁場である。
港町らしく家屋の密集度が高い。家々の間を縫うように路地が形成される。
比較的大きなお屋敷も見られる。廻船問屋などがあったのだろうか。
迷路のような細道を右へ左へ。気ままに歩く。
何とははっきりわからないが、漁師町の雰囲気ってあるよね。
磯の香り。
路地の隙間から覗く海。
12月の日本海から吹く風は冷たくて、シャッターを切ろうとする指先がかじかむ。
灯台の麓から少し登ったところにお寺があり、その境内には既に廃園となった幼稚園。
振り向いて思わず息を呑む。
砂浜に打ち寄せる白波。これぞ冬の日本海。
墓地の向こうに、五十猛の家並み。
茶色の石州瓦と、黒い瓦(多分これも石州瓦だが)が混在する。
波の音に耳を傾け、冬の風を頬に浴びる。
ずっと見ていられる風景…。
この先に灯台がある。
しかし先程の景色を見てしまって、なぜだか登る気が全く失せてしまった。
別にこの階段に日和ったわけではない(ホントだよ)、ただ、あえて登らないでいて、一番美味しいところを知らないままのほうが美しいな、と思ったのだ。
てっぺんからの景色を見てしまったら、また訪れる理由がなくなると思ったのだろうか。それともぼくが求めているのは"生活の香り"のする場所で、風光明媚な眺望とは異なると思ったのだろうか。
理由はともかく、すっかり満足してしまったぼくは来た道を折り返す。
吸い込まれてゆく…
緩やかに蛇行する、下見板貼りの小道。
一度海沿いへ出てみた。
再び路地へ潜る。これもうダイビングしてるのと変わんねぇな(違う)。
郵便配達員とすれ違いざまに挨拶を交わす。
複雑に入り込んだ路地で、ずっと彷徨っていたい…。
何気ない街角が、センチメンタルなものに思えて。
再び海沿いへ。ネコチャン!いっぱいおる。
のび〜。
め〜っちゃいっぱいおる。
思った以上にいっぱいおる。
さて、正午を回ったことだし、防波堤に腰掛けて海を眺めながらお昼にしましょうか。
ランチメニューは昨日コインレストラン オーラで買っておいた「超大あなごおむすび」(前回記事参照)と、先程和田珍味本店で購入したかまぼこ。
キラキラの水面が眩しい。
食べ終わってしばらく海を眺めていると、お客さんがやってきた。
スマン、なんもあげられるもの持ってないや…
「チッ、役立たずめ…」みたいな目で見ないで…
なんか増えた。
このあと軽トラでやってきたおじさんのとこにすぐ寄ってって、なんかもらってた。
よかったね(サミシクナンカナイヨ…)
さて、今回はここまで。
それでは。
つづき